2025.03.05

黄櫨染御袍の雛人形

お雛様飾りの時期になり、なにわ懐石・しゃぶしゃぶ久壷庵でも一年ぶりに飾り付けをしました。 3月3日より4月3日まで飾っています。





親王様を拝見し、天皇陛下の御即位の礼を思い出しました。
「黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)」は赤茶色の装束で、平安時代初期820年嵯峨天皇の詔により、即位の大礼や大嘗祭など重要な儀式の際に、お天子様にのみ着用を許された束帯装束の第一礼装です。


袍の色である黄櫨染は櫨(ハゼ)の樹皮と蘇芳(スオウ)から染め出される色で「赤みがかった黄色」や「黄がかった茶色」等、時代や着用者の年齢等によってかなり幅のある色です。
普段はしっとりと落ち着いた色調をもつ布が、太陽光を通すと、染め布の裏側が真っ赤に輝く、太陽の輝きを布地に宿す神秘的な染めです。
真昼の太陽の色を象徴したものという説もあります。


生地の桐竹鳳凰模様は高貴と瑞祥を表す紋様で、鳳凰が桐の木に留まって鳴く時、聖王が生まれるという伝えから、桐も鳳凰も天皇家だけが用いることの出来る紋様でした。
近世になり麒麟が加えられ天使の徳を顕わしています。